コロナ禍における生活様式の変化は
お菓子業界にどう影響しているのか?
メーカーと商社である山星屋が協力し、
どんな取り組みを行っているのか?
お菓子のこれからについて、
菓子メーカーの担当者と語り合いました。

Profile プロフィール

  • 山星屋 マーケティング部 林有子

    山星屋

    マーケティング部

    林 有子

  • カバヤ食品 営業本部東京支店 内藤健二

    カバヤ食品

    営業本部 東京支店

    内藤 健二

    企業紹介

    カバヤ食品株式会社とは?

    「Give me chocolate」から「We have caramel」の精神で、戦後の貧しい時代に「日本を栄養と夢で満たす、子供たちを笑顔にする」という強い想いから、1946年にカバヤキャラメルを製造開始。現在の製造品目は、チョコレート・清涼菓子・グミ・玩具菓子など。社会的意義を持った商品、塩分味シェアNo.1ブランド「塩分チャージタブレッツ」が強み。

  • 亀田製菓 首都圏支店 宮脇史好

    亀田製菓

    首都圏支店

    宮脇 史好

    企業紹介

    亀田製菓株式会社とは?

    国内米菓市場の約30%を占めるリーディングカンパニー。安全・安心はもちろん多様化するニーズを捉え、おいしく、楽しく食べられるお菓子づくりに真摯に取り組み続けている。「亀田の柿の種」「ハッピーターン」といったロングセラーブランドをはじめとする「亀田のあられ・おせんべい」は多くの方々に親しまれている。

  • ヤマザキビスケット 営業部販売企画課 砂原英晃

    ヤマザキビスケット

    営業部販売企画課

    砂原 英晃

    企業紹介

    ヤマザキビスケット株式会社とは?

    1970年の創業以来、「価値ある製品の提供」をモットーに「チップスター」「ピコラ」等のロングセラー商品を市場に導入。2016年9月より「ヤマザキビスケット株式会社」に商号変更後も、「ルヴァンシリーズ」や「ノアール」をはじめとする安全・安心で高品質な製品を作り続けている。

Theme01 新しい生活様式とお菓子

※以下敬称略

山星屋 林

山星屋/林

ここ数年のコロナ禍による生活様式の変化は、菓子業界も大きな影響を受けましたよね。例えば、衛生意識の高まりから個包装のものが好まれたり、在宅ワークの増加によってオフィスでは食べるのを躊躇するようなお菓子(スナック菓子・せんべい・にんにく系のにおいのものなど)の需要が増加したり。

みなさんが注目している「お菓子ニーズの変化」や「課題」は、どんなものがありますか?

カバヤ食品/内藤

在宅勤務が根づいたことにより当初はまとめ買いに注目しておりましたが、時間の経過とともに「安心・安全」「やすらぎ・癒し」「楽しさ」を追求した「価値」「ブランド力」のある商品に注目しております。店頭イベント等で「楽しさ・癒し」を伝えていくことができないので、当社の「価値ある商品」を改めて知ってもらえるような仕掛けをしていきたいです。

亀田製菓/宮脇

在宅生活の増加による質の高い生活の追求や、節約志向を背景とした家飲み需要の定着に注目しています。このようなニーズに応えるため、マンネリ化する家飲みおつまみへの新たなアプローチとして、「亀田の柿の種」を使用したレシピの提案や「亀田の柿の種」以外の商品のおつまみ訴求をしたいです。

ヤマザキビスケット/砂原

外食の減少によって自炊が増加したことで、食事代替としてのお菓子の需要増加に注目しています。特にクラッカー「ルヴァンプライム」を手に取ってほしいのですが、過去のCMで打ち出していたパーティシーンの印象が強いため、日常生活の食事代替としても選ばれるように新たなイメージの定着を図りたいです。

カバヤ食品 内藤

山星屋/林

各社商品ラインナップによって注目されているニーズや課題が異なりますが、共通している課題は情報発信ですね。情報発信については、山星屋ではお菓子の楽しさを消費者に直接アピールするために、オウンドメディア「お菓子と、わたし」を運営しています。

みなさんとも一緒にさまざまな取り組みをしているので、その感想なども教えてもらいたいです。

カバヤ食品/内藤

当社は、25周年を迎える「さくさくぱんだ」を、年間を通して「お菓子と、わたし」で展開予定です。楽しさや商品認知を広め、ネット上での話題づくりにも取り組みます。展開はこれからですが、この取り組みによってさらに指名買い・衝動買いが増えることを期待しています。

亀田製菓/宮脇

山星屋さんが米菓メーカーに声がけをされていた企画「おせんべいと、オヤジ」に参加しました。オヤジ社員が商品を紹介するという企画で、当社は「亀田の柿の種」を紹介し、SNSでの反響はもちろん、社内でも話題になりました。若年層の取り込みは米菓の課題なので、今後も続けていきたいです。

ヤマザキビスケット/砂原

メーカー各社の連動企画として提案のあった、クリスマスには「# おかしな食卓」、年末年始には「#お酒が進むお菓子」、朝食訴求には「#おかしな幸せ時間」に参加し、クラッカー「ルヴァン」の食べ方提案を取り上げてもらいました。今後は会社としてもさらにSNSを活用する予定なので、山星屋さんとより強い協力体制を築いていきたいです。

山星屋/林

さまざまな企画に参加いただき、ありがとうございます。「お菓子と、わたし」をブームの火付け役にできるように、今後も新しい価値を提案していきたいです。

山星屋が運営するメディア・SNS
「お菓子と、わたし」です。
ぜひご覧ください!

サイト
会話する様子

Theme02 菓子メーカーと山星屋のつながり

宮脇・砂原

山星屋/林

山星屋のマーケティング部ではカテゴリーごとに担当者を決め、担当カテゴリーのメーカー様と市場状況やトレンドについての情報交換を行い、そこで得た情報を社内の営業・商品開発部門へ共有、取引先企業への企画立案に繋げています。

みなさんは、当社と普段どういった取組みをされていますか?

カバヤ食品/内藤

年間販売契約・カテゴリー契約など、目標を明確に定め取組強化を実施しています。
また、山星屋さんの担当者から小売店の課題を共有してもらい、解決に向けて一体となって取り組むケースも多くあります。

亀田製菓/宮脇

お客様ニーズや小売店ニーズの変化についての密な情報共有と、それに対する商品・企画の考案に一緒に取り組んでいます。
また、お客様の需要やトレンドに即座に対応するため、現状の出荷状況だけでなく、先々の出荷予測情報も共有してもらっています。

ヤマザキビスケット/砂原

営業時代には、山星屋さんの担当者と一緒に小売店での販売数を伸ばしていくことが多かったです。現在では、マーケティング部会などで情報共有をしながら、今後の売り上げや商品開発につなげています。

林・内藤

山星屋/林

次に、当社との一番印象的な取り組みを教えてください。

ちなみに私の場合は、「ビスケットの日( 2 月2 8 日)」の認知度を高めるために開催した「ビスケットの日イベント」です。「お菓子と、わたし」が主催となって、ビスケットメーカー数社に参加いただきました。コロナ禍になった今でも、オンラインで開催を続けています。

カバヤ食品/内藤

具体的な事例ではありませんが、小売店と山星屋さん・当社との間で「人と人とのつながり」「強い関係性」ができていると良い結果となるケースが多く、私自身、大切な要素だと思っています。

亀田製菓/宮脇

山星屋さんと関係の深いドラッグストアで、商品の売り上げを大きく伸ばせたことです。以前は売り場スペースを確保することさえ難しかったのですが、最適な商品提案によって前年と比べて数倍の量のお菓子を売ってもらうことができました。

ヤマザキビスケット/砂原

林さんと被ってしまいますが、「ビスケットの日イベント」です。メーカーだけでは集められないほど多くのお客様にご来場いただき、ビスケット商品や「ビスケットの日」の認知拡大につながりました。

砂原

山星屋/林

ズバリ、みなさんにとって、山星屋とはどのような存在でしょうか?

カバヤ食品/内藤

最大であり、非常に重要な取引先です。
また、菓子業界内のビッグデータをたくさん蓄積しているほか、売上拡大だけを目的とせず、小売・商社・メーカーのすべてがwin - win - winとなる関係性を重視しているため、今後の業界全体を牽引していく企業だと考えています。

亀田製菓/宮脇

商品を日本全国のお客様に届けていただくだけでなく、お客様や小売店のニーズの変化に応えるために、ともに考え・悩み・行動する、大切なパートナーだと思っています。

ヤマザキビスケット/砂原

主要な得意先であることはもちろんですが、マーケティング部門の情報交換ができる貴重な得意先でもあります。
また、他社メーカーのマーケティング部門の方々との情報交換ができる貴重な場を提供してもらえるので、とても感謝しています。

宮脇

山星屋/林

ありがとうございます。今後とも一緒に菓子市場を盛り上げるパートナーとしてお互いにがんばっていきましょう。

それでは最後に、皆様の会社が考えるお菓子の未来についての想いを聞かせてください。

カバヤ食品/内藤

戦後の貧しい時代に創業したため、「栄養のあるものを食べて元気になってもらいたい」という想いから始まった会社です。今後もおいしいだけでなく、コミュニケーションツールになったり、「塩分チャージタブレッツ」のように身体のためになったりと、意義のあるお菓子をつくっていきたいです。

亀田製菓/宮脇

商品については、減塩やアレルギー完全フリー、適正糖質を取るロカボ、お米由来の乳酸菌の活用、エコパッケージなど、さまざまな取り組みを進める予定です。
お客様一人ひとりにより良いライフスタイルに貢献したいという「Better For You」の想いを実現していきます。

ヤマザキビスケット/砂原

これまでも目指していた安全・安心という価値は継続していくと思いますが、時代の変化に伴って、現在は健康に配慮していくこともメーカーとしての使命になると考えています。
また、それだけでなく、とことんおいしくて高品質なものも追求していきたいです。

山星屋/林

当社が掲げている「お菓子を通じて、夢と安らぎを。」にもあるとおり、お菓子は幸福感を味わい、心の健康を支えるものだと考えています。
今後も菓子メーカー様とともにさまざまな取り組みを進めることで、菓子業界の発展に貢献していきたいです。
本日はありがとうございました。

会話の様子